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2001年9月12日 水曜日

[]眠くなる 13:47 眠くなる - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上ふみ 高校2年生 2001-09-12 23:50

絶対に、どこにも行かないでなんて言わない。

絶対は絶対に存在しないけど絶対に言わない。

家族って言っても、そのうち別れて暮らすのは当たり前なんだ。


ここのところ非常に騒がしいけどわたしは世界の出来事が上の空だった。

たよりちゃんが実は貯金を続けていて、相談なしに部屋を借りて、この家からいなくなって1週間。メールのやりとりはしている。電話でも話した。姿を見ていないだけだ。

たよりちゃんがいつのまにか涙を見せなくなって、もう何か月経つだろう、最後に泣いてたのはいつだっけ、そのぶんわたしに泣き虫の分担が回ってきたように思える。

その証拠に、理由もないのに泣く。たよりちゃんが泣いていたのには、たいてい原因がなかったから(すくなくともわたしには、そう見えた)、悲しい感情と関係なく涙があふれてくるのは、たよりちゃんの涙が伝染してきたのかなと思うわけだ。

悲しくはない。これは誰かに聞いてもらってもいいけど、わたしがたよりちゃんに依存していたわけでも、もちろんないと思うから、どうして自分が泣いているのかわからず、どこかそんな自分を客観的に楽しんでいるようなところさえあるわけで、心配されるようなことではないのだけど。

相変わらず父さんの帰りが遅いので、あや姉とふたりの食卓になるのだが、このときはまだいい。起きているときは、たよりちゃんがいないことも、きっと出かけているのだろうとか、隣の部屋にいるのだとか、そういうふうに無意識のうちに思いこんで抑えておくことができる。

ただ、夜になって、蛍光灯を消して布団に入ってじっとしていると、この静かな町の静かな建売2階建て築23年の木造建築に、静かなたよりちゃんがいないことが、あらためて静かに強く実感されるのだ。

瞼を閉じるとなおさら。

視覚で確認できる明るいときに不在を感じないで、目をつぶっているときに感じるとは、どういうことだろう。

暗い中にもやもやと赤黒い光が現れ、それがうごめいている向こうに焦点を合わせると、瞼の裏は次第に明るさを増して、たよりちゃんの姿が見えてくる。

次々と湧くイメージのたよりちゃんは、やはり居間に座っていたり、音を立てずに食器を洗っていたり。そうか、深夜の静寂が、たよりちゃんのことを想起させるのかな、と私は考えながら眠くなる。

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