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2001年9月13日 木曜日

[]もぐりこむ 13:49 もぐりこむ - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上ふみ 高校2年生 2001-09-13 00:20

すっきりと目が覚めて、時計を見ると、まだ30分しか経過していなかった。身じろぎもせず、ふたたびたよりちゃんのイメージを喚起しようと思ったけどうまくいかなかったので、トイレへ行って、おしっこをして、手を洗って。

で、今夜が4回目だった。1週間のうちに4回って、ちょっと多い。

あや姉の布団に無言でもぐりこむのが、もう4回目。

最初はチリチリするほど恥ずかしかったけれど、もう慣れました、慣れましたとも。

あや姉の右腕の内側に割って入って、下から3番目くらいの肋骨のあたりに顔をくっつける。

くすぐったいですよと、あや姉は寝ぼけた調子で言って、わたしの体に右腕を乗せた。

ふみちゃん、あの子どうしたの、ほら本屋のバイトで一緒の。あの話、またしてよ」

おとといの夜に、こうやってもぐりこんだときの話題だ。

佐野くんは駅前の書店のバイトで、隣の高校に通っていて、よく勤務の日が重なるんだけど、なぜか、あや姉は、佐野くんのことを聞きたがる。

わたしはだんだん落ち着いてきて、ゆったりした気分で、その日に起こったことを報告する。

佐野くんとレジに立っていて、でもお客さんがいなかったので、ふたりで紙のカバーを折ってストックを作っていて、そして佐野くんはすばやくていねいにカバーを折れる器用さを持っていて、佐野くんはカバーを折るのが上手だね、自分はカバーを折る作業が好きなのだけれどへたくそで悲しい、そういうふうに佐野くんと会話をしたのです、話を聞き続けるあや姉は、ふむふむと相槌を打ちながら、掌を動かして、ぱたぱたとわたしの背中を優しく叩き、そしてわたしはだんだん眠くなっていった。深い淵に落ちる寸前に、あや姉の声が聞こえたのを覚えている。あんたほんと不器用だもんねえ。

その夜は初めて佐野くんが夢に出た。出てきやがった。夢で佐野くんはわたしのことをかわいいって言った。言い放ちやがった。でもそれは、以前たよりちゃんがわたしのことをかわいいって言ったのと同じ口調だったので、たぶんたよりちゃんが佐野くんの姿を借りて現れただけなのかもしれない。そしてわたしは謙遜でなく、自分の顔かたちを好きでなかったので、かわいくないですと言った。言ってやりました。

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