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1995年8月19日 土曜日

[]目撃する 目撃する - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学6年生 1995-08-19 20:35

松野の自転車を見つける。とたんに、胸がさわぎだす。

境内からは木が邪魔をして花火を見るどころではないので、石垣の上の細い道を通って神社の裏を一周してみようと思った。

公太郎が言っていたのは、きっとここだろう。


ほどなくして見つかった松野の背中に声をかけようとして、とっさに息をのむ。

松野の隣に、あさがおの浴衣を見つけたからだ。

学校では神経が太いと思われていて、実際そう言われたり、そう振舞ったりしているのだけれど、実際のわたしはそんなもんじゃないと、このとき、本当に、実感した。


[]出会う 出会う - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学6年生 1995-08-19 20:15

帯はおばさんが来て結ってくれた。ひまわりの浴衣はたより姉のお下がりだった。

「おい河上!」

呼び止められた。誰だかすぐにわかった。公太郎だった。あいかわらず目が細い。

一緒にいるのは渋谷。あいかわらず何か食べている。

いつも松野と一緒にいるふたりだから、自然に目が松野を探してしまう。そのことに気づいて恥ずかしくなる。自分に言い訳をする。打ち消す。

わたしが立ち止まると2台の自転車もわたしのそばに止まった。

河上さー、ちょっと頼みがあるんだけど。松野に伝えてくんねえ? 俺ら、河川敷に行ってるからって」

松野の名前を聞いて、すこし目を見開いてしまった。気付かれて……、ないか。こいつらバカだし。

「あんたたちが呼びに行けばいいでしょうが」

「そういうわけにもいかないんだよー」

渋谷が口に入れたまましゃべる。

ブーヤンは黙ってろ」

公太郎渋谷をさえぎって言った。

「だいたい……」そこでわたしはちょっとだけ口ごもってしまう。「だいたい、松野、どこにいるのか知らないし」

公太郎渋谷が顔を見合わせる。

松野なら、この上にいるよ。神社の裏! ほら、行くぞブーヤン

公太郎が自転車河川敷のほうへ下っていく。

「あー、待てってば! ちょっと公ちゃん!」


松野が、今近くにいる。

1995年7月17日 月曜日

[]ひとりで歩く ひとりで歩く - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学6年生 1995-07-17 16:45

お寺の裏の細い道をひとりで歩いた。生け垣の向こうにひまわりが咲いている。わたしのワンピースと同じ色。あとちょっと時間が経って、夕方になって赤く染まると、少しオレンジがかって見えるところもきっと同じなんだろう。

日焼けした肌が痛んだ。髪の毛や体から、プールのにおいがした。


[]一緒に歩く 一緒に歩く - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学6年生 1995-07-17 16:40

帰り道、わたしの名前を呼ばれた。すぐわかった。松野の声だった。声に反応して体中が熱くなった。松野のことばかり考えているから、罰が当たったと思った。

「あのさあ、河上さあ、次の水泳の時間、リレーがあるじゃん。アンカーになっちゃったから50メートルなんだよ。うまいターンのしかた、教えてくんない?」

それだけでもすごくうれしかった。よくわたしに聞いてくれたと思った。同じ学年の他の男子に聞かず、わたしに聞いてくれる松野。男子とか女子とか、あまり気にしない松野

松野と話しながら、少し歩いた。ターンのしかたについて話し終わると、あとはしばらくふたりとも黙ってしまった。わたしは中学受験のことが聞きたかったけど、どうやって切り出したらいいかわからなかった。わたしが松野を好きな気持ち、そのニュアンスまで松野はわかってくれるだろうか。いろいろ考えているうちに、松野の家の前に着いた。

「じゃあな。サンキュー河上


[]思い浮かべる 思い浮かべる - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学6年生 1995-07-17 15:30

ヨーコちゃんとは、校門で別れた。ヨーコちゃんは、お母さんと国道で待ち合わせをしているので、病院の日は方向が逆になるから一緒に帰れない。そういえばヨーコちゃんはわたしに水着を買い換えれば? って言ってたっけ。小さくなった水着。スイミングでは競泳用のを着ているけど、学校ではみんなと同じ水着。4年生の時から着ている水着。恥ずかしいけど、この夏で最後の水着。

プールの最中は、ずっと松野を見てた。もしかしたら気付かれちゃうんじゃないかと心配したけど、全然そんなことなかった。松野、泳ぐことに熱中していて、他のどんなことも見えていないみたいだった。

わたしは、泳ぐのが好き。どこに行くにも泳いで行けたらいいのにと思う。地球温暖化で海水面が上昇して、クロールで登下校することを思い浮かべる。

自分の手が水をつかんで、脚が水をつかんで進むこと。うまく説明できないけど、そのおこないに、すばらしい充実感がある。それだけなんだけど、それはすごいことなんだ。

小さいころからスイミングスクールに通っていたわたしは、辛いことも嫌なことも全部、泳いで吹き飛ばしていた。スイミングに通うこと自体とか、コーチとか他の生徒も嫌で嫌で仕方なかったけど、それすらも泳ぐことで忘れることができた。ぜんぶ忘れてしまえば、毎日元気でいられる。

松野も忘れたいことがあるんだろうか。噂では、私立の中学を受験するらしいけど。

comnnocomcomnnocom2006/06/19 21:35いちおう、こっちからのトラックバックは見出しごとに送れますよ。
うちのコメントに書いてくれたのは、こういう意味じゃなかったですか?

extrameganeextramegane2006/06/20 02:46受け取るほうが日付ごとになっちゃうてことすかね?

1994年4月20日 水曜日

[]気づく 気づく - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学5年生 1994-04-20 19:35

夕御飯を食べながら向かいに座っているたより姉を眺めて考える。

ヨーコちゃんと似てるのは姉ちゃんだった。

性格もそうなんだけど、箸の使い方が似てた。

気づいたらなんだか噴き出してしまった。

ふみがわたしの顔を不思議そうに見た。

あやちゃんどうしたの?」

[]考える 考える - センチメンタル☆ユニバース を含むブックマーク

河上あや 小学5年生 1994-04-20 12:30

給食を食べながら向かいに座っているヨーコちゃんを眺めて考える。

この人、誰に似ているんだろう。

ヨーコちゃんの髪は黒くて長くて

机をくっつけているのはわたしと、去年わたしと同じクラスだった2人と、去年は隣のクラスだったヨーコちゃんたち3人。ぜんぶで6人。

さっちんがわたしの顔を不思議そうに見てた。

あやちゃんどうしたの?」

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